BACK



日本サド侯爵
美 少 女 処 刑



MENU



人生の全てを自分の病癖的な美への追求に捧げる
青年サジスト!彼は今夜も、誘拐した獲物を生体
実験にかけて、嗜虐の喜びに酔い痴れる…






プロローグ



甲斐信彦は、女性美の真髄は恐怖にあると信じている異常性格者だった。女性を肉体的、心理的苦痛におとし入れ屈辱と恐怖におののく女を前にした時、初めて彼の
SEXが可能になる。

彼のユニークな点は、自分の加虐行為を少しも異常とは思わず、むしろ完全な美意識の極地として誇りにしていることだった。彼は、世俗的で安易な男女のセックスを、単なる動物的な結合として嫌悪し、軽蔑しているのだ。

旧華族家の一人息子として生まれた彼は、広大な敷地の古い館に乳母の老婆と二人だけで、まったく世間とは無縁に暮らしている。彼の人生のすべては、自分の病癖の徽底的な追求にささげられていた。

そのために、館の地下にみずから設計し、おそるべき執念で、あらゆる設備を完備した『研究室』を造り上げ、老婆を手先きにして誘拐してきた美女たちに、日夜恐怖の生態実験をおこなう。






彼の犠牲になった娘たちは、虫責め、蛇責めをはじめ、狂わんばかりの恐怖に晒され、死にまさる屈辱にさいなまれる。驕慢な娘は彼の尿を全身に浴び、美しい肌に刺青をほどこされ、あるいは催淫剤を強いられて自己崩壊する。また、豊艶な上流夫人は奇怪なセックス・マシーンをあてがわれ、際限もない快楽の汗を絞り取られたあげく、呼吸の止まるほど悪臭に満ちた糞尿風呂へ漬けられ、誇りと虚飾を無残に打ち砕かれる。そのたびにこの古い館に、おそるべきサジストの哄笑(こうしょう)がひびくのだ──。




蒐 集
(しゅうしゅう)



雑誌をひろい読みしていた信彦は、フト手を止めた。頁いっぱいに、若い娘の写真が載っていた。『娘自慢』といったたぐいの連載で、父親は大企業の重役らしい。たしかに自慢するに足る美しさで、開きかけた花のような清純な輝きに満ちていた。白とトルコブルーの斬新なカットのドレスで、アンチックな感じの、長い二連のネックレスがよく似合っていた。広い額も濃い眉も、それから大きな黒瞳もいかにも気ぐらいの高い、癇(かん)の強そうな印象だった。おそらく溺愛されて、わがままいっぱいに育った令嬢なのだろうが、稀れに見る美少女というほかはない。

高辻ミユキ、十九歳。一六二センチ、四八キロ。S女子大仏文科在学中。信彦はじっくり彼女を眺めてから、その写真のペ−ジを切り取り大きくデスクの抽出しにしまった。この抽出しの中には、数十枚もの女佳のポートレートが入っている。雑誌、週刊誌などに載っていたものや、信彦自身が街でかくしカメラで撮ったものだ。時にはテレビの画面にカメラを向けることもある。もちろん現像も自分でやった。

とにかく、彼のきびしい審美眼と、確固たる好みにかなった女たちで、いわば研究材料の予備軍としてプールされているわけだ。次ぎの生贄が必要になると、この中から一人の女が選ばれる。

彼女たちの生活環境、家族構成、学校や職場、趣味やスポーツ、友人関係まで、本人にも周囲にも知られずマークする。これはたいへんな神経と労力を要するが、まったく職業を持たない信彦には、時間はタップリあった。彼は学者がコツコツと研究資料を集めるような執念と慎重さで、必要な情報を蒐集した。

それでも、誘拐の実行は、つねに困難と危険がともなった。計画は、三ヵ月も半年も延期され、ついには放棄せざるを得ないこともあった。彼の身に疑惑が及ぶ怖れがある時は、計画を中止したからだ。信彦は、身の安全を心配するより、むしろ自分の『研究』が発覚して中断することを怖れたのだ。

釈放された犠牲者たちは、いずれも覚醒剤やその他の薬品の作用で、半狂乱の状態で発見された。完全に廃人になった娘もいれば、恐怖のあまり言語障害を起こした女もいる。とりとめもないことを口走るから、警察の調べも不可能で、精神科送りになってしまう。

彼女たちは無気味な地下室での地獄の責苦が夢ともうつつとも判然せず、その地下室の所在の見当さえもつかない。信彦の計画は全てにおいて慎重に熟慮され完璧だった。司直の手が彼のもとに及ぶ怖れはまずなかった。

それでも彼は、外出する時は眼鏡やツケヒゲなどで素顛をかくした。服装も綿密に変化したし、時にはカツラを使用することもある。長身自哲の彼が、明るい色の髪をつけて、ハンチングなどをかぶると外国人と間違えられた。

時間と金と、知能のすべてが、信彦のいわゆる『研究』に賭けられていたのだ。加虐だけが彼の人生の目的である以上、当然のことだった。ある夜、衝動的に女を鞭打ったり、面白半分に縛ったりする、片手間のサジストたちとは、本質的に異なるのだ。

信彦は、次ぎの生贄の候補者たちのポートレートの中から、考慮の人にやはりミユキを選び出した。そして、誘拐の方法と、彼女に対する実験の具体的なアイデアを、じつくりと検討しはじめた。

これは、彼にとって、実際の本番の時と同様に、愉しい時間だった。実行はまだまだ先きのことになるだろう。だが、それだけ精密なプログラムが出来上がるということだった。

気が済むまで、ゆっくり時間をかければいい。




捕 獲
(ほかく)




林の中から風が吹き抜けてくる音がする。ひどく寒く、空気は冷え冷えと湿っていた。

どうしてわたしは、こんな寒い戸外にいるのだろうかと、ミユキは思った。たしか温かく快適なところにいたはずだった。甘い花の香り、香ばしい、料理の匂い、シャンペンを抜く音、そして賑やかな人々の談笑──。

そうだ、わたしは友人の結婚披露宴で、ホテルのパーティにいたのだと、彼女はぼんやり考えた。そのために、豪華な総しぼりの振袖を着たのだ。大勢の人々からそそがれた、讃嘆と羨望のまなざしを、ミユキは思い出していた。

『あのお嬢さま、すごくお綺麗だし、お衣裳もずいぶんすばらしいわねえ……』

そんな囁きさえも……。

それにしても、どうしてこんなに寒く、気分が悪いのだろうと彼女は思った。グラグラするほど頭が重く、躰も窮屈にこわばってしびれてしまっている。手も足も冷えきって自由に動かない。久し振りに着た振袖のせいだろうか─。

ミユキは、鉛のように重い頭をやっと持ち上げて薄眼を開けたが、しばらくはあたりの様子がわからなかった。暗く、湿っぽくて風が吹いている。木の枝が鳴っているのだ。どうやら森の中のように樹々に囲まれている。

それに視点が合わなかった。彼女はまるで宙に浮くように、樹間に飛び出しているのだ。まさか、自分が木に登っているはずはないと思いながら、躰を動かそうとして、彼女はギョッと全身を硬直させた。

手も足も縛られていた。しかも振袖の胸がはだけられて、のぞいた乳房の上にも、太いロープが二重三重に巻きついている。身の毛のよだつような恐怖に、彼女は叫び声をあげようとしたが、むなしく頭を振ってもがいただけだった。口中には布切れのようなものがぎつちり押し込まれ、その上をしっかり縛られている。

猿ぐつわ!そのおぞましい言葉が浮かぶと、ミユキは恐ろしさのあまり、息が詰まりそうだった。思わず躰をよじると、手足にロープが喰い込んでくる。淡い月光の中でよく見ると、木に縛られているのではなく、白木の太い角材、それも十文字になった柱の上に、左右に両手をひろげて固定されているのだった。

十字架はしっかり土中に埋められ、地上2メートルばかりの空中に、彼女はとらわれていた。まるで処刑を待つ囚人のように……。絵や文字で見たことのある、中世の礫刑そのままの姿で……。

だが、誰が? なぜ? なんのために? 恐怖にしびれる頭で、ミユキは事態をさぐろうと必死になった。あの華麗な友人の披露宴に列席し、パーティが終ってホテルを出たところまでは覚えているのに、それからの記憶はプッツリと途切れてしまっている。

そして、気が付いた時には、十字架の上だったのである。あり得ないことだった。悪夢にうなされているとしか思えない。だが、悶えるたぴに肌に喰い込んでくるロープの苦痛が、彼女を現実の恐怖に引き戻した。

風が強くなって、彼女の長い裾が激しくはためいた。

見えるのは、黒々と繁茂した樹々のつらなりだけだった。どこかわからないが、とにかく山中にちがいないとミユキは思った。すでに手も足もしぴれ、躰の感覚が失われてしまっていた

得体の知れぬ犯人は、自分を礫刑にしたまま、山中に放置して、殺すつもりなのだろうか――。

呼吸はますます切迫して、冷たい汗が流れ、猿ぐつわのために息苦しさはつのるばかりだった。救いを求めようにも声は出ず、涙だけが頬を伝わった。

その時、遠くで犬の吠え立てる声が聞こえた



処  
(しょけい)




犬の咆哮(ほうこう)は次第に近づき、ついに十字架の下まできて、すさまじく吠え立てていた。見ろからに獰猛(どうもう)そうな巨大な犬で、柱の上のミユキを威嚇するように、牙をむいて捻り声をあげている。

そのうち、彼女の足もとを狙って跳躍しながら、なおも吠え続けた。新たな恐怖にミユキはおののいた。あまりに意外なことの連続に、神経が凍結して、何も考えられなくなっていた

『いや、美しい! 実にすばらしい!』

犬に気をとられて気付かなかったのだが、一人の男が立って、彼女を見上げていた。和服を着流しにした、長身の、まだ30代前半ぐらいの男だった。

『こんな美しい処刑の光景を拝見できるとは、僕は実にめぐまれている。世間の奴らは、こんな見事なシーンは、夢想もしないでしょう。お嬢さん、今、あなたは完壁に美しい。それに、その振紬の華やかさが、礫刑台に調和して、まったく効果的だ──』

ミユキには、男の声が聞こえていなかった。やっと人間が出現した嬉しさに狂喜して、激しく首を振った。一刻も早く、この忌まわい十字架から降ろしてもらいたかった。

『残念ながら、その無粋な猿ぐつわを取って上げるわけにはいきません。私も、あなたの声を開きたいのですが、万一ということもあるから、やはり用心しなくてはねえ







信彦は、心から残念そうに、あたりを見回した。広大な屋敷の中は樹木が茂るにまかせて、黒々と静まっている。その巨木にかくれて、ここは外界から完全に遮断されていた。人間嫌いの変人主従の住むこの屋敷をうかがう者はいないはずだった。まして、深夜のことだ。

だが、いつもの完全に安全な地下室での実験からハミ出して、戸外で責めを実行する以上は、用心に用心を重ねなければならない。彼女のためのすべてのスケジュールを完了するまでは――。

信彦は、徹底した完全主義者だったのだ。

『私は、あなたのために、あなたにふさわしい、おもてなしの方法を、熟慮したのですよ。そして、どうしてもあなたを磔刑台に乗せてみたくなったのです。想像したとおり、処刑を待つあなたは最高だ!今のあなたは、女性美の極地ですよ!準備にかなり手がかかったが、それだけの値打ちはありましたよ』

どうにか、彼の言葉の意味を、理解すると、ミユキの血は氷った。それでは、この一見、人品卑しからぬ男が、犯人だったのだ─。狂人だ。わたしは、なぜか、狂人の虜(とりこ)になってしまったと思うと、髪毛が逆立った。



信彦は、彼女の心中を見すかすように、軽く笑った。

『いや、私は狂人ではありません。あなたの美の讃美者です。一番美しいあなたが見たかった。磔刑は、あなたのような美少女であってこそ似合うのです』

しゃべりながら、彼はかたわらの木に立てかけておいた、長槍をとり上げた。この夜のために蔵に眠っていた家伝の名槍を、彼は磨き上げておいたのだ。柄についた金蒔絵の家紋には、テープを巻いてかくしてある。彼女に見覚えられる怖れはないのだが、計画はすべて万全を期すのが彼のやり方だった。

月光に槍の穂先がきらめくと、ミユキは狂ったように身もだえした。だが、その鋭い槍が白蝋の頬にピタリと当てられると、彼女の全身が静止した。まるで呼吸することも忘れたように──。

風に振袖が音を立ててはためいた。無気味な静寂の中で、銀の穂先はジリジリと下がって、ミユキの乳房の上で停止した。信彦の構えは正確で、まるで次の瞬間、彼女の心臓を狙って突き出されるかのように見える。だが、槍はわずかに動いて、彼女の乳房をかすっただけだった。









血が流れ、胸を巻いたロープを染めた。ついで槍先は、風で乱れた振袖の裾を捲くようにはね上げた。太腿からも糸のように血がしたたって、足先きまでつたわった。ミユキは、凍った足に、自分の血のなまあたたかい感触を辿(たど)ると、処刑台の上でガックリと首をうなだれた。それ以上の恐怖と緊張に、まだ稚ない彼女はとうてい耐えられなかったのだ──



吸血
(きゅうけつ)



 地下室に放置されると、ミユキはオコリのようにガタガタ震え続けた。

十字架上の死の恐怖は、縛を解かれた今もなまなましく彼女をさいなんでいた。いや、放置された今のほうが、いっそう激しく彼女をすくみ上がらせていたのだ。

あの無気味な男の身許も意図も、ミユキには皆目見当がつかなかった。それだけに、恐怖のボルテージは、増幅されていくばかりだったのだ。男は、暴行するために、ただそれだけの目的のために、あれほど手のこんだ、芝居がかった怪奇な行為を実行するものだろうか──

誘拐、十字架、犬、そして槍──。

ミユキは、意識をとり戻した時の、あの荒地の露に濡れた草の上での、みじめな自分を思い出すと、屈辱にすすり泣いた。あの男が自分の躰の上に押しかぶさって、激しく動いていた。彼女は、局部の激しい疼痛(とうつう)で失神から覚醒したのだった。

あたりには月光を浴びて華麗な着物や帯や、色あざやかな小物類が散乱して、ミユキは裸体にされていた。

男の熱い唇が、彼女の乳房の上の傷に触れて、まだ流れ出ている血を強く吸いつづけた。その時、男の口から漏れた呻き声をきくと、彼女は再び失神しそうになった。『吸血鬼』というイメージが脳裏に浮び上がったのだ。

彼女は純潔で、男に犯されるのは初めてだったが、この男はとても並みの人間の男とは思えなかった。もっと獣じみて、残忍だった。

だが、動物的でありながら、どこか神秘的な冷酷さをうかがわせる。得体の知れぬ魔性をひそめているのだ。

彼が激しく喘ぐたびに、ミユキの苦痛は激しくなって、今は耐え難い激痛となって彼女をさいなんだ。手足のロープも、猿ぐつわも解かれていたが、悲鳴をあげそうになると、男の唇が彼女の唇をおおった。

汚辱にまみれた拷問は、際限もなく続けられるような気がした。相手の姿勢は目まぐるしく変化し、信じられぬことだったが、今は彼女の白い両脚は彼の扁にまで持ち上げられ、苦痛はますばかりだった。

ミユキは、自分の姿の浅間しさに絶望し、両手で顔を蔽った。こんな無鯵な方法で処女を失う刃目になろうとは、思いもかけなかった。19歳で、まだ恋人もいない彼女にとって、セックスは、チャペルの鐘と花束と、大勢の祝福の彼方のとばりの中に、やさしくひそんでいるはずだったのだ──。

『さあ、その美しい顔を、もっと私に見せなさい──』

両手を押しのけられると、男の顔が眼の前にあった。その唇が自分の血で濡れているのを認
めると、ミユキはまたしても失神しそうになった。


だが、そのとき、血を流していたのは、むろん乳房だけではなかったのだ──。

今は、その血は股間にかわいて黒ずんでいたが、まだ異物感と熱っぽい鈍痛が残っていた。彼女は、照明に背を向けて、ソッと服の裾をまくり上げてみた。血痕は、思ったよりも大量に肌を汚していた。

ミユキは、あの絢爛たる総絞りの振袖とはうってかわった、灰色の粗末な化繊の服を着せられていた。女囚の囚人服そっくりで、彼女の派手な顔立ちや、プライドの強い感じとまったくチグハグのみじめな印象を与えていた。

彼女は、ソワソワとこの部屋の中を見回した。見れば見るほど奇妙な部屋で、このコンクリートの箱のような檻の中に、彼女は理由もなく幽閉されてしまったのだ。

不安は濃くなるぼかりだったが、ミユキは今、激しい尿意を覚えていた。長時間戸外の夜気に晒されたためか、暖かいこの地下室に入れられてから、尿意は耐え難くなっていた。

トイレのありかはわかっていた。あの白髪の無表情な老婆が、彼女をこの部屋に閉じ込めた時、無愛想な口調で教えてくれたのだ。そして、老婆はつけ加えた。

『ゆっくりくつろがれたらいいですよ。心配することは何もありませんからね。旦那さまは、それは立派な方なのだから……』

ミユキは、呆然として、仮面をつけたように、表情の動かぬ老婆の顔を凝視した。無法に誘拐し、死ぬほど怖ろしい拷問を加えた揚句に、暴行しておいて、なんという言草だろう。主人も召使いも、あきらかに常軌を逸しているのだ──。

それでも、尿意に攻め立てられると、彼女はトイレのドアを開けて、おそるおそる内部を覗き込んだ。ひょっとしたら、窓があるかもしれないと思った期待は裏切られた。

トイレは清潔で設備はととのっていたが、窓はなく、純白のタイルが天井まで続いていた。奇妙なのは、周囲が床の上五十センチほど、すべて磨かれた鏡で貼りめぐらされていることだった。



奇異な感じがしたが、もう我慢の限界に達していた彼女は、服の裾をまくるなり、便器にまたがっていた。尿は、彼女の意志にかかわりなく、激しい音をたててほとばしった。

ここに連れ込まれてはじめて、こころよい開放感が彼女を包んだ。

だが、その時、ミユキは不安な感じに見舞われて、狭いトイレの中であわただしく見回した。

どこにも異常はない。しかし、彼女は、誰かに、どこからか凝視されているような、無気味な感じに襲われて、背筋がゾッと寒くなっていた。





弄 辱
(しゅうしゅう)





『どうです?この番屋の住み心地は?』

『なにか不自由なことや、入用のものがあったら、遠慮なく言って下さい。』

信彦は入ってくると快活に声をかけた。実際、彼はすごく上機嫌だった。久しぶりに理想の生贄を得て彼の計画は予定どおりに着々と進行してるのだ。

恐怖の処刑台の実験は、想像以上の大成功で、その興奮は、彼の気むずかしいセックスの遂行を可能にしてくれたし、そのエクスタシーは、近来にないすばらしいものだった。彼の欲望は満たされたのだ。


ミユキは、脅えながらも、不審をこめてこの男を見詰めた。容姿も端正なら、言葉づかいも丁寧で、風格のある品位さえ感じられる。

とても並の狂人や暴漢とは思えない。だが現実、彼の行為は無慈悲で破廉恥きわまる暴虐ぶりで、やはり狂人かとてつもないサジストとしか思えない…。





『さあ、ひとつ、八ミリでも観賞しょうじゃありませんか』

電気が消され、カタカタと機械が回りはじめると、彼女はやはり白壁に写し出される映像に眼をやらずにいられなかった。だが、たちまち彼女は鋭い悲鳴をあげた。

トイレのドアが開いて、せっぱ詰った表情のいかにも不安そうな彼女の顔が覗く。それから何がはじまるかは、見なくても、もう彼女にはわかっていたのだ。

『やめて! やめてえ!』

ミユキは映写機に飛びついて行ったが、信彦は余裕たっぷりに彼女の腕をつかんで、映像のほうに顔をねじ向けさせた。

『ほら、ごらん。すばらしいシーンじゃないか? 実に魅惑的だ』

彼女は必死に眼をつぶったが、尿のほとばしる音が、部屋いっぱいに響いた。盗み撮りされた上に、録音までされていたのだ。

『この音が、また健康的、肉感的だ。いささかその品のいい美しい顔に似合わぬ感じはあるがね。顔に似合わぬといえば、あなたの恥毛は、色白の高貴な肌に似ず、猛々しいくらい黒く濃いね』

ミユキは、羞恥に全身が染まる思いで、いたたまれなかった。女にとって、これほど残酷な辱かしめはない。

自分のすさまじい放尿の音は、途絶えることなく、長々と続いていた。彼女は耳を押えて、床の上をのたうった。永却に続くかと思われる、非情な拷問だった。

『さて、これであなたのヒップが、実にチャーミングで、日本人ばなれした美しさであることが立証された。そこで私は、あなたのヒップの魅力を、もっと効果的に発揮できる装置を用意したのだ―』

根底から誇りを踏みにじられ、魂の抜けがらのようになったミユキは、うつろな瞳で、信彦を見上げた。

部屋の真ん中に、自転車のようなものが固定されていた。彼女には何がはじまるのか、見当もつかなかったが、信彦は上機嫌で彼女をうながした。

『さあ、これに乗って、漕ぐのだ。早く! 服は脱いだほうがいいね。婆や、お嬢さんを手伝ってあげなさい』

灰色の女囚の服を脱がされると、輝くばかりの裸像があらわになったが、もう彼女は、乳や下腹部をかばう気力もなかった。さっきのフィルムが映写された今では、すべてが無意味だったのだ。

立ちすくんだまま、躊躇していると、長い革鞭が飛んだ。それに追い立てられて、この奇妙な装置にまたがった彼女は、次ぎの瞬間甲高い悲鳴をあげた。

気が付かなかったが、ちょうどサドルに当たるところに、鋭い突起物が無数に植え込まれている。腰を落とすと、それが女のもっとも柔らかいデリケートな部分へ、無慈悲に突き刺さるのだ。

『漕げ! 早く漕ぐんだ!』

降りることも許されず、激痛を避けるためには、尻を持ち上げ、高く後方に突き出すようにして、車輪を回し続けるしかない。信彦と老婆の面前で──。

ミユキは断続的に悲鳴をあげながら、漕ぎ続けた。ゴール寸前の競輪選手のように、必死の形相で、尻を高く突き出しながら……。













動画 アダルト動画 ライブチャット