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アブノーマルなプレイ
鼻腔の被虐に溺れて


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刺激を追い求めて悪魔のプレイに眈溺してしまう私達…
この、いまわしい性癖は、地獄に堕ちて焦熱の劫火に、
焼きつくされなければ、治らないのでしょうか…?






── <一> ──

咋年5月号の奇クサロンに、逆さに吊るされたままで、うけた牛乳責めについて、短文を書きました所、読者の皆さまから大変反響を、頂きましたので、今回は牛乳責めについて、少し、詳しく述べさせて頂きたいと思います。

実を申しますと、逆さ吊りのままで、牛乳責めをされたのは、あの時が1回だけで、普通は、両手を後ろ手に縛られて、正座した姿勢で、責められるのでございます。それで今回は、正座して行なわれる場合の牛乳責めについて、お話しする事にいたします。

たくましい夫の腕が私の右手首をガッチリと掴み強い力でグイッと背中に捻じ上げました。

縛られる──、そう思っただけで、私は体中が熱くなり、心は早くもしびれるような悦虐の陶酔へとかり立てられるのでした。


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 背中の右手首の上に、左の手首が重ねられ縄は、両方の手首にきつくくいこんでキリキリと固く巻きしめられてゆきます。手首にくいこむ縄の感触!

 次に、二の腕にも二重三重と縄がかけられ、さらに乳房の上と下にまわされて、うしろ手の結び目と一つにされますと、もうどんなにもがいても、ビクともしません。もう、何をされてもどうしようもない、という無力感から、私は、すっかり諦観の気持に浸ってしまうのでございます。

『立て!』

うしろ手の縄尻をとられて引き立てられ、窓際の、机の前に正座させられました。

机の高さは、正座している私の顔の高さとちょうど同じぐらいで、その机の上には、牛乳をいっぱいに満たした、900t入りの大きな、牛乳ビンが置いてあるのです。そして私の右側のゆかに、同じ大きさの牛乳ビンが、これは空のまま置かれました。これから、恐ろしい牛乳責めがおこなわれるのです。

『さあ、顔を仰向けるんだ』

夫の手が私の髪の毛をつかみ、グイッと乱暴に顔を仰向かされました。


ムリヤリに仰向かされた顔を、動けないように抱えられて、両方の鼻の孔に、ビニール管が、しっかりと挿しこまれてしまいました。このビニール管は、長さ50糎、直経が一糎ぐらいで、私の鼻孔よりやや太目のうえ、端の内側に、まるい針金の輪がはいっていて瑞がふくれておりますので、鼻孔にピッチリとはめられてしまいますと、少し引いたぐらいでは、なかなか抜けなくなってしまうのでございます。

 左側の鼻孔にさしこまれたビニール管の先が、机の上の牛乳ビンに入れられました。

『さあ、鼻の奥をしっかり閉じるんだよ』

 夫は命じました。絶対服従を誓っている私は、咽頭に力を入れて、鼻の奥をしっかりと閉じました。

 夫が右側のビニール管の先を、口で強く吸いますと、ビンの中の牛乳はビニール管に吸いあげられ、鼻腔の奥をとおって、右側のビニール管に流れこみます。そのビニール管の先を、ゆかに置かれた牛乳ビンの中に入れて手がはなされますと、牛乳は、二つのビンの高さの差によって、低い方のビンに勢いよく流れはじめました。

 目の前の、ビンの中の牛乳が、目に見えてグングン減ってゆきます。

『アッ、アッ、アッ……』

 私は、思わず声をあげてしまいました。なんという責苦! そして、なんという屈辱でしょうか。嫌悪感と快感の、いり混じったなんともいえない不恩義な感覚が、私の全身をつらぬきました。

『どうだ、いい感じだろう』

『ウウウ……ゆるして……』

 私は、うしろ手に縛られた不自由な体をよじって、切なく身をもだえました。

 机の上のビンの牛乳が、だんだん少なくなって、もう少しでなくなる、という寸前に、すばやくビンが下にさげられて、代りに、下の牛乳がいっぱいになった方のビンが、机の上にあげられます。すると、牛乳は今度は逆に、右側の鼻盤から左側め鼻腱へと流れるのでございます。

皆さま方のなかには、プールなどで泳いだ際に、なにかのはずみで、鼻に水がはいって痛い思いをなさった経験が、おありのことと思います。実際、真水が鼻にはいりますと、粘膜が刺激されて、すこし痛いものですけれども、体温ぐらいに暖められた牛乳は、どういうわけか、鼻腔の粘膜に、まったく刺数や痛みを感じないのです。

 ただ、目の前のビンの中の牛乳が、みるみるうちに減って、下のビンの牛乳が増えてゆきますので、牛乳が鼻の奥をとおって流れていることが分かるだけなのでございます。

ですから、鞭打ちや、くすぐり責めのような苦痛はありませんが、目の前のビンの牛乳が、グングン減ってゆく有様を、まざまざと見せられるのは、視覚を刺激して、精神的に、すごく苛められている──という気持がいたします。陶体的苦痛よりも、羞恥と屈辱を味あわされる精神的苦痛の方が、はるかに大きいのでございます。

うしろ手首や、胸にきつくくいこみ、たえず縮めつけ続ける縄の緊縛感! 両方の鼻の孔に、無惨にビニール管をさしこまれて鼻を貴められる屈辱感! しかし、それらがいつしか、快い被虐の陶酔となって、燃えあがってくるのでございます。

息をはずませ、せつない呼吸をつづけながら、だんだん喘いでくる嵐の表情を、夫は注意ぶかく見つめながら、さらに、言葉によるいたぶりを始めました。

『さあ、お前のいまの状態を説明しなさい』

『ハ、ハイ……私は両手をうしろ手に、きびしく縛りあげられております』

『うん、それから──』

『両方のお鼻に、ビニールの管を入れられて牛乳を、とおされて責められています』

『そうか、牛乳責めは苦しいか? それとも楽しいか?』

『……』

『どうなんだ! 返事をしないか』

『ハイ、とても苦しいです。でも──苦しいけれども、いい気持です』

鼻腔を、まったく塞がれておりますので、正確な発音はできませんけれども、こうした言葉によるいたぶりで、私はますます深く、被虐の渕にしずんでしまうのでございます。

『ああ……もう……ゆるして!』

私は、まるで気が遠くなるような、ウットリとした感覚に坐っていられなくなってしまい、縛られたままの体で、フラフラと横に倒れかかりました。

『まだまだ! ちゃんと坐って』

夫のはげしい叱声に、私は、ハッと我にかえって坐りなおしました。


私の顔の、まん中にそびえている、肉づきの豊かな、白い恰好のよい鼻──。美貌の誇りであり、自尊心を代表する大切な鼻を、このように残酷に責められて、私は、マゾヒスチックな悦びに浸りながら、この残酷なお仕置が永久につづくことを願い、被虐的ムードに陶酔するのでした。

 夫が上のビンを持って高くさしあげ、2つのビンの間隔がいっぱいに開きますと、牛乳は早いスピードで、グングン流れ、ビンの高さが近づけられますと、牛乳の流れは、ゆるやかになってまいります。夫は、私の顔をじっと見つめながら、両手に二つのビンを持って牛乳の流れを自由自在に調節して、表情の変化を楽しむのでございます。

 水道の蛇口をひねったときに、よく、ガタンガタンと大きな音がすることがございますでしよう。どうしてこういう現象がおきるのか、くわしい理由は分かりませんけれども、牛乳責めをされている時にも、二つのビンの高さの開係で、ときどき、これに似た状態になることがありますのよ。

 そのときには、鼻腔の中が、ちょうどマイナスの圧力になったような感じになります。そして、ビニール管や鼻翼をビクンビクンと激しくふるわせ、牛乳の流れが、脈をうって遅く間歇的になるのです。しかし、この現象も、二つのビンの高さが変えられますと、なくなって、もとのように、スムースに流れるようになります。

 こうして、私の鼻腔を右から左へ、左から右へ、牛乳は何回も何回もとおされて、牛乳責めは、いつ終わるともなく続けられたのでごいます。責めぬかれ苛めぬかれて、私はもう息も絶え絶えになってしまいました。

『あなた……もうかんにんして下さい』

『そうか。では今日は、このくらいにして、許してやろう』

 牛乳が全部捨てられると、あらかじめ用意された、これも体温ぐらいに暖められた薄い食塩水がビンに入れられ、牛乳をとおされたときと同じように、私の鼻腔を右から左へ、左から右へ、何回もとおされて、入念な洗滌がおこなわれるのでございます。

 耳鼻咽喉科のお医者さまで、鼻洗滌の治療をうけられた方は、よくご存知と思いますがぬるま湯ぐらいにあたためられた薄い食塩水は、牛乳とおなじように、鼻腔の粘膜をまったく刺激しないのです。

 洗滌液がうすく濁ってまいりますと、新しい食塩水にとりかえられて、洗滌がつづけられ、数回のとりかえで、殆ど透明になってまいりました。

『大分きれいになって来たようだ。もうだいじょうぶかな──』

 しかし夫の、その言葉が終わらないうちにどこかの副鼻腔にでも入っていたものでしょうか、食塩水のために、なかば固まりかけた真白な牛乳が、大きなかたまりになって、ドロリと出てまいりました。

『まだまだ、掃除をしなければいけないな』

 それから、また暫く洗滌が続けられましたが、その後は、もう牛乳のかたまりは出てまいりませんでした。

両方の鼻の孔からビニール管がひき抜かれて、牛乳責めは、ようやく終わったのです。うしろ手の縛しめをとかれて、私は畳の上にグッタリとのびてしまいました。責めぬかれて身動きするのさえけだるい、甘い疲労感に私は放心したように、暫くの問、夢現の境を逍遙していたのでございます。



── <二> ──


鼻─、それは顔の中央部にあって、呼吸と嗅覚をつかさどり、発声の補助をする一器官にすぎないのに、何故、このように私の心をとらえてはなさないのでしょうか。私の心の奥底には、いつも、鼻をなぶられ苛められたい、という秘かな願望がくすぶり続けているのでございます。

手足を縛られ、ギッチリと猿ぐつわをはめられたうえ、鼻の孔に火のついたタバコを挿しこまれたり、ローソクの熱い、しずくを入れられたり、鎖をとおされたりして、鼻腔を責められるのは、ほんとうに辛く、苦しいものでございます。ですから、鼻を責められるのはとても怖いのですけれども、その反面、もっともっとひどく、残酷な方法で鼻を責めてもらいたいという気持が、心の片隅にあるのでございます。

 皆さまは、私があまりにも鼻にばかり執着するのを、きっと、不思議に思われることでしょうね。でも、私だって、始めからこんなではなかったのです。

 自分の口から申すのも変ですけれども、私の鼻は、高さといい恰好といい申し分なく、高校生の頃には、よくお友達から、鼻の形をほめられたものです。でも、その頃は勿論こんな倒錯した執着はなく、鼻は、美貌を形づくる道具立てぐらいに思う以外は、何の関心もなかったのでございます。

 高校を卒業して、M銀行にお勤めするうちに、おなじ職場に勤める夫と知りあって、昭和41年に結婚したのですが、夫の変わった一面を知らされたのは、それから間もなくだったと思います。

夫は、私の鼻に異常なまでの関心を持ち、指で私の鼻をもてあそんだり、鼻に接吻したりして、まるで悪かれたように執拗な愛撫をするのです。当時の私は、異常性愛というものにまったく無知でしたので、夫婦とはこういうものかと思い、おとなしく、夫にされるままになっていたのですが、愛撫は次第に異常さを増していき、お終いには、手足を、ギリギリと縛られた上、愛撫というより責めに近い、サデイスチックな行為になっていきました。その頃には私も、夫の異常性と申しますか、夫の性格に底知れない薄気味悪さを、感じるようになったのですが、同時に、それらのアブノーマルな行為が、身内が燃えあがるような、不思議な陶酔を呼ぶものだと知らされたのでございます。

 今考えてみますと、夫の巧妙なペースにすっかり引きこまれて調教をされ、まったく夫の思いどおりの鼻マゾに飼育されてしまったようで、だんだん鼻を責められることに、不思議な快感を覚えるようになり、そして、いつしか、妖しい感覚のとりこになってしまい鼻腔を責められることに骨のとけるような悦びに浸る女になっていたのでございます。

 結婚した当時は、まさかこんなことになろうとは、夢にも考えておりませんでしたが、人間というものは、その置かれた環境によって、どのようにでも変化し、順応してゆくようにできているものかも知れませんわね。あるいは、若しかしたら、私の心の奥底にも、被虐をよろこぶマゾの素質がねむっていたのかも知れません。

確か、何かの本で読んだのですが、鼻腔は大変、神経の発達した所で、若い男性の方など鼻腔粘膜をこよりでくすぐられただけで射精してしまう人も居るそうでございます。その神経のするどい部分を夫に責められ、根気よく調教されて、とうとうこのように、鼻腔粘膜に特異な感覚を感じるようになってしまったのではないでしょうか。

 こうして、私のマゾヒズムは、鼻を責められるという行為から始まり、鼻を完全に征服されることによって、完成していったのでございます。

 鼻は、顔の中央部の器官であるところから人間の自我は鼻に集約され、自尊心と、人格を代表する部分であるといわれております。その鼻を、夫に征服されてしまった、ということは、とりもなおさず、私という人間が、完全に夫に支配され、夫の奴隷になってしまった、という意味に外ならない、と思うのでございます


────── ○ ──────



私を、すっかりMに育てあげてしまった夫は、こんどは新しい刺激を求めて、アヌス責めや、逆さ吊りや、ハリツケなどの責めを、次々と行なうようになってゆきました。夫の奴隷になり、縛られ責め苛まれることに悦びを感じる女に生まれ変わった私は、それらの新しい責めをも、抵抗なくうけ入れてゆきました。そして、次第にアブノーマルの泥沼に深く落ちこみ、めくるめくようなマゾヒズムの世界に恥溺していったのでございます。

新しく行なわれたそれらの、色々な責めのなかでも、特に私の嗜好に叶ったのは、A責めでございました。

三月号の『ハリツケ残酷記』のなかで、X感覚やA感覚とおなじように、鼻腔粘膜の感覚─N感覚というものが、あるのではないかしら? ということについて、私の考えを述べさせていただきましたけれども、私は、体じゅうの粘膜の部分、特に、鼻腔やアヌスを責められることに、つよい悦びを感じるのでございます。粘膜被虐症? とでも申すのでしょうか。

 私の性生活には、A感覚とN感覚が、X感覚と同じように、いいえ、それ以上に大きなウェイトを占めているのでございます。A感覚やN感覚を夫から責められますと、私の肉体は、この上ない興奮に駆りたてられて、甘美な陶酔から、知らず知らずのうちに、自らの体を開いていってしまうのでございます。そうして、その責めが激しければ激しいほどその後の夫婦の結合に、狂おしいばかりのエクスタシーが得られるのでした。

 さきほどお話ししました、牛乳責めなどのように、液体をもちいたプレイでも、ビニール管が使われますと、ほとんどお部屋を汚すことはありませんので、寝室でおこなわれますが、アヌスを責められる時には、お風呂場でおこなわれます。あたたかい浴室でのプレイは、私たちの官能をいちじるしく刺激して責めのムードはいやがうえにも高められ、私は、しびれるような悦虐の境地に、のたうち回ってしまうのでございます。


お風呂場のことですから、二人とも、一糸もまとわない生まれたままの姿なのは勿論ですけれども、私は、全裸の体をうしろ手にきびしく縛りあげられたまま責められるのでございます。縄は、いつも使われている柔らかい綿ロープが用いられますが、縛られたままの体を浴槽につけられますと、ロープがすごく固くなってひき縮まり、私の柔肌を、よりいっそう強く締めつけるのでございます。

私は自由をうばわれたまま、肛門拡張器やガラス棒などで、アヌスを責められたり(アヌス責めについては、別の機会にお話ししたいと思います)水道の蛇口につながれたゴム管で、お腹のなかに、いっぱい水を注入されたりするのです。また、『潜水婦』や『ふんすい』など、考えただけで、体じゅうの血が逆流してしまうような残酷な責めや、そのほか、とても口では申しあげられないような、難かしい責めなどが、私の体に加えられるのでございます。『潜水婦』などと申しましても、皆さまにはお分かりにならないと思いますので、説明をいたしましょう。

私は、両手両足を背中で一つにまとめて縛られ、逆海老の恰好にされたうえ、両方の鼻の孔に、呼吸のための長いビニール管をさしこまれて、浴槽の底に、仰向けにしずめられてしまうのです。


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恰好にされたうえ、両方の鼻の孔に、呼吸のための長いビニール管をさしこまれて、浴槽の底に、仰向けにしずめられてしまうのです。むかしの潜水夫が、長いゴム管で、船の上の手押しポンプから空気を送られて水にもぐつたことから、このように名づけられたのです。

また、『噴水』と申しますのは、顔を逆さに固定されて、水道のゴム管を片方の鼻孔に押しあて、水道の蛇口が、段々開かれていって片方の鼻の孔からまっすぐ上に噴水のように水を出させられるプレイなのでございます。

もっとも、このような浴室での責めや、はじめに、お話しました牛乳責めなどは、ずいぶん時間がかかりますので、そう度々おこなわれるわけではありません。大抵は土曜日の夜が利用されるのですけれども、健康の上にもよくないと思われますので、できるだけ差しひかえ、1ヶ月に1回か、2回ぐらい行なわれるのでございます。

最後に、ある土曜日のプレイの模様について、お話することにいたしましょう。



── <三> ──


今日は土曜日。むごたらしいお仕置に悶えぬく、悩ましくも羞かしい、悦楽と耽美の夜でございます。

 私は、お風呂からあがったばかりの、生まれたままの体を、すでにうしろ手に縛りあげられて、夫の前に正座し、これから、刑の宣告を受けようとしているのです。

両手首は背中で重ねられ、縄は、両方の手首に十字に交又して厳重に括られ、さらにその縄は首にまわされて、手の先が肩にとどいてしまうほど、思いきり高く引きあげられているのです。うしろ手の手首をさげようとすれば、首にまわされた縄が咽喉をしめつけます。胸には、二巻き三巻き、ロープがむごたらしく喰いこみ、口の中には、いっぱいに布切れが押しこめられて、うめき声すら立てられない程、完全にはめられた猿ぐつわ──。

この残酷な姿のままで、これから執行される、刑の宣告が言いわたされるのです。

上体をきびしく締めあげられた縄目と、猿ぐつわの息づまる苦しさの中に、すでにかすかな陶酔が、体じゅうをじーンとしびれさせてゆくのでした。

今日は、どんなお仕置が言い渡されるのだろうか?十字架に縛リつけられて、くすぐり責めにされるのかしら。あるいは、いつも一番多くおこなわれる鼻責めかしら。若しかしたら、逆さ吊りかも知れない。それとも、このまま引き立てられ、浴室に連れこまれてアヌスを責められるのかしら? これから宣告されようとする、責めへの不安と期待に、私の胸は、ドキドキと激しい動悸をうっておりました。

私は、いかにも罪人のようにうちしおれ、上体をふかく前に傾けて、刑の宣告を待ちました。夫はイスに腰かけて、ロープで締めあげられた私の裸身を上から眺めながら、

『今日は鼻のローソク責めにする』と、いいました。(ああ…やっぱり鼻を責められるんだわ)鼻孔にそそぎこまれる、ローソクの熱いしずくを思い出して、私の体に、かすかな戦慄が走りました。

私を部屋に残したまま、夫は、お納戸に入ってゆきました。

お納戸の中には、組立式の十字架や、拷問台や、二つに折りたたみのできるハシゴなど、犠牲者の体を固定する、さまざまな大道具がいっぱい入っているのです。それらのなかから、夫は拷問台を運んで来て、お部屋のまん中に据えました。

 うしろ手の縛しめをとかれると、すぐに、拷問台の上に追いあげられてしまいました。私は、人身御供に捧げられるいけにえのように諦めきった心境で拷問台の上にあがったのでございます。

 拷問台と申しますのは巾20糎、長さ一米50糎ほどの板に、45糎ぐらいの高さの脚をつけた、木製の長いイスなのです。イスの一方の端に、同じぐらいの高さの、箱が置いてあり、私はその箱に頭をのせて、イスの上に仰向きに横たわりました。

 まず両腕がうしろに回され、イスの下側で両手首が組まされて、きっく縛られました。次に、長いロープで、私の体はイスにグルグル巻きに縛りつけられてゆきます。胸からおなか、腰、太もも、そして、まっすぐに伸ばしている膝から足首まで、まるで荷物のように、ガンジガラメに縄がかけられてゆきました。私の体は、ちょうどカマボコのように拷問台に密着して、ギッチリと縛りつけられてしまったのでございます。

『ム、ム、ムウ……』

私は全身を締めつける縄日の厳しさに口の中に入れられた布切れを、硬く噛みしめて悦虐のうめき声をあげ、身をよじって悶えようとしましたけれど、体はまるで、一本の棒のようになって、身動きひとつできません。

次に、頭の下の箱がとり除かれてしまいましたので、支えを失った私の頭部は、咽喉をのけぞらせて、ガックリと下に落ちてしまいました。その上、髪の毛を一つにしてロープにからめられ、イスの脚にしっかりと括りつけられてしまいましたので、私の顔は逆さに固定されたまま、まったく動かせなくなってしまったのでございます。

もう、どうすることもできません。マナイタの上に乗せられた鯉のようです。


────── ○ ──────




鼻口をかたく締めあげていた、猿ぐつわの手拭いがとられました。しかし、これ以上開けられない程、あごをいっぱいに開けられて布切れを詰められた口は、自分で布切れを押し出すこともできません。夫の指先が、グッショリと唾液を吸いこんだ布切れをつかんでズルズルと引き出しました。

他の責めのときには、猿ぐつわは必ずはめられて、おしまい迄はずされることはないのですが、鼻責めの場合だけは口で呼吸をする必要から、猿ぐつわをはずされるのでございます。

猿ぐつわがはずされて、呼吸は楽になりましたけれども、恥かしい鼻孔が、天井を向いたまま、あますところなくさらけ出されてしまいました。拷問台の上にギッチリと固定されて、縦にも横にも、まったく動かせなくなった鼻が、これから、夫の意のままに料理されるのです。

『さあ、これで仕度はできたぞ──。覚悟はいいね』

無抵抗にのびきったままの、私の咽喉を、夫は、いとおしむように、掌で撫でながら言いました。

『おねがい……その前に接吻して!』

せまりくる情感の昂ぶりに、私は、あえぎながら、いいました。

『うん、よしよし。こうかい』

夫は、畳の上に肘をついて、腹ばいになると、私の逆さまになっている顔を両手で、はさみました。

ウットリと瞼を閉ざしている私の唇を、夫の熱い唇がふさぎます。逆さまになった私の顔とまっすぐなままの夫の顔が、それぞれ反対方向をむいたまま、唇をあわせた異様な接吻!

『ム、ム、ム……』

私の舌は、根元まで完全に夫の口のなかに引きこまれてしまい、その、舌の根もちぎれるばかりの強い吸引力に、思わず、うめき声をあげてしまいました。

『さあ、お仕置の前の身体検査だ』

長い長い接吻の、官能的な陶酔を振りはらうように、夫はいいました。そして、天井をむいている私の鼻の孔に、鼻鏡をさしこんで、大きく押し拡げ、目を近づけて、中をのぞきこむのでした。

鼻責めのお仕置をされる前には、いつも、こうして、身体検査がおこなわれるのでございます。


いっぱいに拡げられた鼻の孔に、綿棒がさしこまれ、あちこちつつかれて、奥の方までていねいに、くまなく調べられてゆきます。恥かしい鼻腔を、あからさまに仰向かされて中をのぞきこまれる恥かしさ!。じ−んとした疼きが、体じゅうに伝わりました。

鼻の粘膜が刺激されて、クシャミが出そうになるのを、じっとこらえながら、私は検査が終わるのを待ちました。

『ウン大分きれいになってはいるが、右側が少し汚れてるようだね。あとで、歯みがきで掃除をしてあげよう』

『ハ、ハイ……』

伸びきったままの、私の咽喉が、ゴクリと動きました。

私の鼻が汚れているなんて…いいえ、そんなはずはありません。検査をされるときに、鼻腔がよごれていては、自分自身が恥かしい思いをしますので、夫に命じられるまでもなく、お風呂に入ったときに充分に洗ったのです。ですから、よごれているはずはないのに、夫は何かと因縁をつけては、それを次の折檻の口実にしてしまうのでございます。でも、私は弁解ひとつ許されず、このムチャクチャな決定をおとなしく受けなければならないのです。これで今日は、ローソク青めのあとで、練歯みがきで責められることになってしまいました。


────── ○ ──────



まず、鼻腔の奥の方に、脱脂綿がかたく詰められました。

鼻の孔のすぐ内側は、広い空洞になっていて、皮膚の続きになっておりますが、その奥は、やわらかい粘膜でおおわれています。夫は、私の鼻の孔に鼻鏡をさしこんで大きく押しひろげ、ピンセットを使って、粘膜の部分のできるだけ奥の方に、ていねいに脱脂綿を詰めこむのです。

どうしてこうするかと申しますと、以前にローソク責めをされた時に、鼻腔に流れこんだ大量のロウが、固まってとれなくなってしまい、大変恥かしい思いをして、お医者さまに、とり出していただいた事があるのです。それ以来、ローソク責めをされるときには、こうして、脱脂綿を詰められることになったのでございます。

直経が3糎もある、ふといローソクに、火がつけられました。ポツリとついた火芯が、だんだん大きくなり、ユラユラと灸が高くあがるのを待って、ローソクは横に倒されたのです。たちまち、熱いローソクのしずくが、ポトポトと、私の天井を向いた鼻の孔に流れこんでまいります。顔を動かして、ローソクのしずくを避けようとしても、髪の毛を、イスの脚にしっかりと結いつけられておりますのでどうすることもできません。ロウが鼻にあたって、ツーンとした熱さが、頭の芯にまで伝わってまいりました。

『ウーム……』 こらえきれない苦悶のうめき声が、私の口からもれました。

熱さに悶える私におかまいなく、夫は鼻孔の右に左に交互に、ローソクのしずくを滴せたり、またあるときは2つの孔の境に、ポトポトと落とし、左右の鼻孔に流れこむままにしたりしてローソク責めを続けるのでございます。

その内、鼻全体がジンとする程、熱くなってまいりました。頭がじーんとしびれ気が遠くなる様な悦虐のひと時!

『ウウ……、あついわ』、私はイスの下側に縛られた両掌をかたく握りしめ、足指を曲げたり反らせたりしながら、その熱さをこらえました。やがて、とけたロウが、鼻の孔にいっぱいになってきたようです。


『ホラ、見てごらん』、夫は、鏡でその様子を私に見せてくれました。

とけたロウが、両方の鼻の孔の入口にまでいっぱいに溢れているのがよく見えます。鼻孔の周囲は固まりかけて、白くなっていますが、まん中は、まだ液体になっていて、水のように透きとおっております。しかし、その透きとおった部分も、すぐに半透明になって固まりかけてまいりました。





『おねがい……、やわらかいうちに、早くとって!』 私は必死になって頼みました。

鼻の孔というものは、その入口は小さいですが、内側は鼻頭の裏側や鼻中隔側に深くえぐれていて、広くなっているのでございます。ですから、ロウが完全に固まってしまいますと、とり出される時に、大変苦痛になるのです。

私の願いに夫はうなずいて、まだ柔らかいロウをピンセットの先で少しずつ崩しながら取り出し始めました。入口の部分を出してしまうと鼻鏡で鼻の孔を押し広げ、ピンセットを深く差し込んで奥の方の部分が取り出されます。

 夫は、その作業をいかにも楽しそうに、わざとゆっくりと、時間をかけてやっているようですが、私も、この鼻孔に詰められたロウを、ピンセットで掘り出してもらう時が、もっとも被虐の陶酔を呼ぶ時なのです。私は全神経を鼻に集中し、ウットリと目をとじて、鼻を、夫にまかせきりました。一番おしまいに、鼻の奥から脱脂綿がとり出されて、ローソク責めは、ようやく終わったのでございます。


────── ○ ──────



『さあ、こんどはこれにしようか』

 ローソク責めの余韻が尾を引いて、ウットリと、夢うつつの境をさまよっていた私は、夫の言葉に、ハッと我にかえって、目をあけました。夫の手には、100g入りの大きな新しい練歯みがきのチューブが、しつかりと握られているではありませんか。(ああ……、こんどは歯みがきが入れられるんだわ……)


 私は、イヤイヤと首を横に振ろうとしましたが、頭をガッチリと固定されておりますので、どうしようもありません。練歯みがきのフタがとられて、その口が、私の左側の鼻孔に、しつかりと挿しこまれてしまいました。

『さあ、いくよ』

 夫の指が、チューブを押しつぶすにつれて左側の鼻腔いっぱいに練歯みがきが押しこまれてまいります。ローソクで責められて、まだ、熱くほてっている鼻に、ヒヤリと冷たく感じる練歯みがきの、異様な感触!

『ウ、ウ、ウウ……』

 嫌悪のなかに、ふと、妖しい疼きのようなものが、脊髄を走りぬけました──。

私は前に、鼻の孔から鎖を入れられて口へとおされたり、左側の鼻孔から入れられた鎖を、鼻中隔の裏側をとおして、右側の鼻孔から出されたりして、各部分の寸法を計られたことがございます。その時の記録によりますと、鼻孔の入口から咽頭までは、約九糎ありましたが、鼻中隔の奥行の長さは、約六糎しかありませんでした。

つまり、私の鼻腔を、左右に隔てている鼻中隔は、奥行が六糎ほどでおしまいになり、そのうしろは、ひと続きの部屋になっているらしいのです。

鼻責めファンの方のなかには、鼻中隔へ穿孔をなさっていらっしゃる方がおられるようですけれども、私はまだ、鼻中隔への穿孔はうけておりません。それで、左側の鼻腔にしぼりこまれた練歯みがきは、その奥の、ひと続きになった部屋をとおって、右側の鼻腔に押しやられてくるのでございます。

私は目をかたくつむり鼻の奥をしっかりと閉じて練歯みがきが咽喉に入らないように一生懸命に防ぎました。

私の苦悶も意に介せず、夫は、情容赦なくチューブをしぼり続けます。あとからあとから、しぼりこまれる練歯みがきは、とうとう、反対側の鼻の孔から、外に押し出されてまいりました。

正常な方々には、全く想像もできないことかも知れませんが、この、反対側の鼻の孔から、練歯みがきが押し出される瞬間に、なんともいえない、たまらない刺激があるのでございます。

『ホーラ、出てきたぞ。みてごらん』 夫の声に、私は、かたく閉じていた目をあけました。

夫は片手で歯みがきのチューブを絞りながら片手に手鏡を持って、その様子を見せてくれるのでございます。

鏡の中に映った私の顔…あぁ〜なんという無惨、なんという凌辱でしょうか、美貌のほこりも自尊心も、こっぱみじんに吹きとばされて、そこには、無茶苦茶にじゅうりんされつくした、落花無惨な姿があったのでございます。

『ああ……ああ……』

私は口を大きくあけて、切ない呼吸をつづけながら、この地獄の責め苦に、悦虐のうめき声をあげました。

身悶えしようとしても、全身にきびしくかけられた縄目は悶える自由すら許しません。体じゅうが、すっかりしびれてしまって、何だか、自分の体でありながら自分の体でないような気がいたします。

さき程から長時間にわたって、頭を逆さに固定されておりますので、頭に血がさがって来たためでしょうか。それとも、鼻腔内いっぱいにしぼりこまれた、練歯みがきのためでしょうか。頭のなかに、真綿をいっぱい詰めこまれたように、重くなってまいりました。ほんとうに、気が遠くなるような悦楽でございます。


チューブが完全に押しつぶされて、練歯みがきが、すべて反対側の鼻の孔から押し出されてしまいますと、このプレイも終わりで、すぐに、鼻の清掃がはじめられます。

鼻のまわり一面を埋めつくした練歯みがきが、タオルで、ていねいに拭きとられたあと吸引器で、鼻腔内の練歯みがきが吸い出されました。それから、牛乳責めのときと同じように、両方の鼻の孔に、ビニール管がさしこまれ、食塩水をとおされての洗滌がおこなわれたのでございます。

私は、ただもうグツタリとなって、夫にされるがままになっておりました。

洗滌液が、白くにごってまいりますと、何回か新しい食塩水にかえられて、水が完全に透明になるまで、鼻の清掃がつづけられたのでございます。


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それにしても、嗜虐の鬼となったように、私の鼻腔に、こんな異常な責めを加える夫。そうしてまた、その責めに悦虐のうめきをあげて、のたうつ私──。私たち夫婦の体のなかには、いったい、どんなに呪われた血が流れているのでしょうか。考えただけでも、そら恐ろしくなることがあります。

はじめてこの責めをうけたとき、夫は長い間、考えつづけたこのプレイを、一回だけでいいから実験させてくれるよう、私に頼みました。私は夫の計画をきいて、あまりの恐ろしさに拒みとおしたのですけれども、強引に長イスの上に縛りつけられ、自由をうばわれてムリヤリに、鼻腔に練歯みがきを、しぼりこまれてしまったのでございます。

その時の強烈なショック! ほんとうに、失神しなかったのが不思議なくらいでした。

ところが、どうしたことでしょう。暫くたちますと、その強烈な刺激が、なつかしい甘美な想い出となって、私の心に、強くやきついてしまったのでございます。練歯みがき責めの刺激が忘れられず、もう一度、あの強烈な陶酔を─、と願った私は、こんどは、自分の方からその責めを、夫に要求してしまったのでございます。

この辺の私の心理状態は、自分でも、よくわかりません。一度求めたのがきっかけとなって、それからは、どちらから言うともなく、何度か、残酷なプレイがおこなわれたのでございます。

でも、こんな異常なプレイをつづけていては、きっと、体や美容のためにも良くないことでしょう。プレイが終わったあとの自責と悔悟──。そのうちに恐ろしいカスタトロフが訪れるのではないかしら? という不安と危惧におびえ、なんとかして、このアブノーマルの泥沼から這いあがりたいものと、いろいろ努力をいたしました。プレイが終わるたびに、もう二度とこんなことをしてはならない、と、誓い合ったりもしました。

しかし、どうしても駄目なのです。ひとたび私の胸に点けられた煩悩の火は、もはや消し様もない程に、私の体の奥深くに燃え拡がってしまい、ブスブスとくすぶり続けているのです。硬い誓いも虚しく何週間か経ちますと秘密の楽園の戸口を慕うように再び、その刺激を追い求めて悪魔のプレイに眈溺してしまう私達なのでございます。

私たち夫婦の、この倒錯した、いまわしい性癖は、地獄に堕ちて焦熱の劫火に焼きつくされなければ治らないものなのでしょうか?とんでもない、恥かしい告白をしてしまいましたけれども、これは、私の偽りのない、赤裸々な、真実の叫びなのでございます。鼻腔の特異感覚に狂い、鼻への被虐に憑かれた女の告白、はたして、皆さまに、信じて頂けますでしょうか…?





----------(おわり)----------










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