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少女の甘い肌
艶夢の誘い


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☆夢か現実か? 桃源境にきまよった四人の男達











 吉沢茂と名乗るその男が、ルームの入口に姿を現わして、うっそりと立っているのを認めたとき、高村良市は薄暗い部屋の中に、急になまあたたかい風が吹き抜けるような感じを覚えたほどであった。

 男の出現には今夜顔を出している若狭からあらかじめ聞いていたので、その夜集っていた良市たち三人の出席者も、さして驚くことはないのだが、何よりも異様に思えたのは男の容貌であった。男は入口に立って、

『みなさん、お邪魔させていただきますよ』 と良市たちに声をかけた。

だが、半ば開いたままの唇がいっさい動かないのだ。よく見るとそれは、肉付き坂面とでもいえそうな、顔面をすっぽり覆う仮面をつけているのだった。金にあかせて特別に造らせた精巧な板面は、道ですれ違うくらいなら、つい気づかずに見過ごしてしまうだろうが、こうして正面きって話しかけちれると、やはり不気味さが先にたった。

 良市たちはいつものょうに、それぞれ持ちよったコレクションを観賞するのに集中しやすいように、中央のテーブルの上のスタンドだけを灯もし、ルームの他の照明はすべて消してあった。スタンドの低位置の照明が、立っている男の仮面を下から浮かせていることが、いっそう不気味にしているのだった。

 その男を招待した若狭の話によると、男は今から十数年も以前、山林王と呼ばれ、当時の高額所得者ベストテンに連続して名を連らねていたほどの人物であるが、自動車事故で願面に整形不可能なまでの傷を負ったということであった。それまでは相当のプレイボーイとして、女に生き甲斐を感じていたようなこの男は、すっかり世をはかなんでしまい、以後は社会から姿をくらませて、世人から忘れ去られた存在になっているということだ。



 ただ、良市たち4人の会に、突然出席させてもらうからには、必ずそれ相当のものを披露し、満足してもらえるだけのことはさせていただく、というふれこみであった。

 良市たち4人が、原則として月に1回、しかし、いずれも社会的に忙がしい職業を持つ男たちなので、必ずしも原則どおりにはいかないが、少なくても3ヶ月に1回は六本木にあるこのクラブの一室で会合し、それまでに蒐集した写真や絵画を披見しあうのがこの会合であった。

 SM、といってもこの会は、女性の緊縛を嗜好する以上、Sの会とでもいうのだろうが最初十数人もいた会員が、たった4人になってしまったというのも、理由はいたって簡単である。

 一概に愛好者といっても、ずいぶんいろいろな分類があって、例えば最初会員であったA氏などのように、性欲とサディズムとはまったく別固のものという主張もある。従ってA氏のものにした写真は、女性の年令や美醜などは関係なく、そこにはただ残酷性があるだけで、ここにいる4人のような耽美主義者とはだいぶ縁遠いものであった。

 B氏の場合はA氏と違って、これは耽美主義者の部類に入るようであるが、彼の好みは女性を拘束するのに鏡や手錠がよいらしい。そして、彼の撮影した緊縛写真を見ると、背景、つまり撮影の場所は、必ず冷えびえとしたコンクリートの床であったり、またベッドらしいものがあればそれも冷い光沢を放つレザー張りのものでなければいけないようだ。これも四人の考えから見ると、終局の目的である“犯す”場合を想うと、鎖や手錠の感触の堅さや冷たさはどうにもいただけないのだ

では、緊縛される女性は妙令の美人で、縄によって緊縛されればよいのか、というとそれだけではなく、この種のマニアの小うるささといったら果てしがない。C氏は何をおいてもY字型とか大の字縛りでなければ納得できないし、D氏は猿ぐつわが不可欠のものであり、その猿ぐつわにもこまかい好みがあって、E氏のように鼻まで覆わなければ承知できないというのもいる。縄にしたところで太いのや細引きといわれるものなど好みはまちまちなのであった。



とにかく以上のような具合で、厳密にいえば最初の会が解散して4人だけ残ったというのではなく、3人、5人と、好みの似通ったものが寄り合って、いわば分流活動に入ったというべきだろう。

良市たち4人の共通点はといえば、概ね次のようになる。女性は美女であることは勿論、いずれも後ろ手縛りを好むこと。血をみるような残虐性がなく羞恥責めを主眼にしていること。

強姦を最終日的にしていること等で宮原というテレビ局の芸能ディレクターだけが外人の女姓好みである他は、いわば四畳半趣味という傾向が一致していた耽美主義者の集りだから、ひと頃の小説や絵でよく見かけた浣腸ものなどは論外である。

この4人が、それぞれ自分の生活する分野から、ものにした女姓の緊縛写真を持ち寄って、いわば自慢し合うだけのたあいのないものであるが、写真の数量ではやはり職業柄、芸能ディレクターの宮原が群を抜いていた。







それに、緊縛写真の女性たちは、タレントの卵がほとんどだけに、いずれも若々しく美しい。

 しかし、近頃はスターを夢みてこの道を志す女性の多くは、ほとんど最初から羞恥心など、かなぐり捨ててかかっているような具合なのは、すでに衆知の事実であるし、そのような手合いに職権を笠に着た宮原が、少々えげつないことを要求しても、拒否する娘などほとんどない。

 そうした背景があるだけに、宮原のものする緊縛写真は、見た目に美しく楽しくはあっても、撮影が容易なだけに価値は薄いといえた。



 ある私立の中学校から女子短大まで経営している源田校長の緊縛写真は、枚数こそ宮原に劣らぬくらい多い割には、登場する女性はほんの4、5人であるが、これはたいへんな値打ちものだ。

 緊縛写真の女性、というよりは、ほとんど彼の高校の女生徒なのであるが、校長が自分の学絞の女生徒の緊縛写真──それもまだ青い果実もあらわに晒されたものを撮影するというところに、ぞくぞくするような背徳感を見るものに覚えさせるのである。

この緊縛写真を、ものにするのに最低3年の準備期間が必要だと源田が言う様に、それなりの苦労はある。

 彼の写真の緊縛写真は、さすがに初いういし処女だけあってきりきりと開脚縛りにされて、汚れのない桃の果実をレンズの前に晒している姿は、哀れにも美しく、マニアにとってはこたえられない写真であった。ただ、源田にとって最大の痛恨事といえば、彼はそうして思いのままに幼い全裸の緊縛写真を撮り興に乗って弄ぶことはあっても、生徒の将来のことを考えると、からだを汚すところまではできないことであった。

 町の、小さな総合病院長である若狭が撮影する緊縛写真は、源田校長のものよりもっと貴重で、スリルに富んだいきさつを含んでいる。

 産婦人科医である若狭は、かつて彼のSMパートナーであった看護婦の協力を得て、緊縛の機会を巧みにつくるのだ。

 妊娠中絶手術を受けにくる未婚の娘などは最も簡単な好餌となった。若狭は、これはと思う美女がくると、手術日を病院の休診日に指定する。100%、指定された日にやってこない妊婦はいない。

 麻酔の段階まで例の看護婦が手伝って、緊縛に要する一時問足らずの間、彼女は席をはずす。あとは患者自身が晒した下半身をあらわにして、昏々と眠りつづける被縛体がそこにある、というわけだ。若狭は、あらかじめ用意しておいた縄、猿ぐつわの布などを手早くさばいて、たちまち全裸の緊縛体を造りあげ、思いのままに撮影する。心ゆくまで撮り終えると、彼は緊縛したままの女を抱いて犯す。

 そうして若狭の用事がすっかり終ってからぼつぼつ本業にとりかかる、といった具合だ。そういう若狭の写真は、被写体のういういしさにおいて源田校長のものには及ばないが、そのかわり緊縛写真を撮られた本人が、微塵もそのことに気づいていないというところが若狭の自慢であった。

 この3人にくらべると、高村良市の場合は最も恵まれない立場にいた。

 日本画壇ではまだ新進の部類にある良市も彼の所属する嶽領会においてはすでに中堅の有望株であるが、彼の周辺には嗜好の対象となるような女性は、内弟子に一人いるくらいのものである。

 その女性にしたところで、将来画家志望ででもあれば、公募展の入選を引き換えに、ということも考えられるが、本人はほんの趣味ていどで満足しているようすのうえ、高村にほのかていどでも好意らしいものを持っていてくれてばまだ望みはあるのだが、容貌快異とまでいかなくても、恋愛などとはおよそ縁のない良市では、ほとんど望みは託せそうになかった。

そんな立場なので、高村は今までまだ一度も会合に、緊縛写真を持参したためしはない。他の3人がそんな高村を喜んで迎え入れているのは、役の筆になる緊縛責め絵が、涎唾に値する逸品だったからである。絵画の持つ特有のロマンチシズムが卒直な所、耽美主義者には源田や若狭の緊縛写真よりも最も求めるところであった。






仮面の男が遠慮がちにテーブルに近づいてくると、紹介者である若狭は、椅子を退いて吉沢の席をつくった。

『突然おうかがいして申し訳ありません。若狭さんにもお願いしてありますが、私のコレクションや嗜好が、少しでも皆さんのお好みに会えばと思いまして…。ま…、皆さんのようにベテランの方がたですと、おわかりいただけるものと思いますが、こういうものは自分一人で楽しんでいてもつまらなくて…。まあ、いわば、やっばり他人さまに見ていただいて、自慢にしたいという気持がありまして……』

男の声は照れ隠しに笑ったが、仮面は依然としてとりすましたままだ。

『若狭さんにはご信用頂いているのですが、ここでは他の皆さん方にも信用いただくため、と思いまして……』

 男はそういいながら、入口のほうを振り返り、ちょっと手をあげた。

 良市たちはそのとき初めて気づいたのだがたぶん吉沢といっしょに入ってきて、いままで控えていたのだろう。そこには黒いスーツを着た女がひとり立っていたが、吉沢の合図でテーブルへ近づいてきた。

 地味なスーツとは対照的に、女は夜目にもあでやかな顔立ちの年増で、目をみはるくらいの美貌であった。良市は美しい顔を見据えながら、どこかで見たょうな女だと思ったが想い出せなかった。

『あっ』と、最初に声をあげたのは、良市と同様に穴のあくほど女を凝視していた宮原であった

『間蓉子さん。そ…そうだったんですね』

 あっ、と良市も心の中で叫んだ。女はかつてのスター、間蓉子であった。一作ごとに人気が上昇する最中、ふと、かき消えるように銀幕から姿を消していた。いずれ、政、財界の排々じいさんが、芸能界から退かせて囲ったのだろう、と世人は噂していたのだ。そして、いつかその名さえ忘れてしまっていた。

女は宮原の問いに、白い並びのいい歯を見せたが、しとやかに吉沢の後に立って、またひっそりと控えていた。

『これは……』 と仮面は背広のポケットから数葉の写真をとりだして、テーブルの上に置いた。

『もう、古いものですが、この女の写真です』4人の男が、争うように手を伸ばした。

 まぎれもない間蓉子の緊縛写真であった。豊満な全裸を高手小手に縛められて、秘所もあらわに呻吟している姿がそこにあった。あるものは、吉沢らしい太い指が美しく輝いている女体を開いている。あるものは指を心憎いまでに使って弄んでいた。

 良市は反射的に、吉沢の後ろでひっそりと立っている蓉子を盗み見たが、女の表情は長い捷毛の陰になって、うかがい知ることはできなかった。

『この頃は顔がこんなになる以前で、私も若かったし、華やかなものが好みでして、ま、金にあかしてこの女を退かして写真を撮ったのですが……』 4人の男は聞き耳をたてた。

『そのうち病こうもうになってきますと、こんな写真もまったくつまらなくなりまして…なにぶん女優などというのは、スターになるまでにはすでに、ずいぶんいろんな男の手垢にまみれていますからな。ふふふ…』

 男の言葉は後ろに控えている間蓉子の存在を無視していた。

 良一たちのほうが、かえって蓉子に気づかって、身のすくむ思いでした。

『それからというものは、まだ汚れのない処女を金で買うようになりました…』



間蓉子の緊縛写真で、すっかり度胆を抜かれてしまった4人の男たちは、身をのりだして吉沢の話の中に引きこまれていた。

『…ところが天罰てきめん、ごらんのとおりのご面相になってしまいました』ふふふふ、仮面の中で、男は自嘲的な笑いを洩らした。

『やっと一命をとりとめまして、退院はしたものの、外出もはばかられる身になってみますと、女体緊縛の願望はますます強くなるばかりで、こうなると、まるで執念というべきでしょうな』

吉沢は、またポケットから写真をとりだした。

『そう、百人くらいの女を縛ったでしょうか。ま、女たちはほとんど皆さんのご存じない女ばかりなんですが、ここに一人、ひょっとしたらご存じかも知れない女の写真がありますのでごらんください。つい最近まで、テレビに出ていた女なので、特に宮原さんなんか、よくご存じと思いますが…』

テーブルの上に置かれた写真に、四本の手が先を争って伸びる。
『ああっ!』と、またしても声をあげたのは、やはりディレクターの宮原だった。
『…というと?』テレビなどとはまるで無縁の良市がたずねる。







『内藤ゆかりじやないですか。ううむ…』 とディレクターは呻いた。

『やっばり、ご存じでしたね。ぜひ本ものをお目にかけたいですね。まだ、うちにおりますから』

 仮面の男は、満足そうにそういった。

『いや、おどろきました。この、内藤ゆかりというのはね』

 宮原は写真を指して良市のほうを向きなおった。その少女は、海老責めの緊縛体を両面いっばいに晒して、羞恥に染まった女体を、淫らな指がこれ以上の凌辱はないほど責めたてているさまが写されているのだった。

『銀座の歩行者天国でスカウトされた娘でねたしか、18才だったかな。ここにいる間蓉子さんのあとを継ぐ、大型の清純スターとして将来を嘱望されていたんだけど…。まだ、テレビ映画に二作くらいしか出演はなかったようだが、まあ、完全な処女だったね。それが突然…、姿をくらましちまって…。まず、失踪としか考えられなったんだ。自分から希望して女優になった娘じゃないからね。ううん、そうかあ、この娘は、あなたのところにいたんですねえ』

 宮原は兜を脱いだていで再び呻いた。

 内藤ゆかりの愛くるしい頬を割って、黒光りするベルトの猿ぐつわが咬まされている。柔らかい女体に陥没するまでに高手小手の縛めを受けて、少女の呻き声が聞こえるような迫力のある写真であった。

 仮面の吉沢がこの席に現われてから、それまで貴重なものだった源田や若狭の緊縛写真も、にわかに価値を失ってしまった具合である。

『それで…どうです皆さん。今から私の邸に皆さんをお招きして是非、中の様子をご覧頂きたいですが…』

その前にもう一杯、熱いお茶を…とすすめられ、4人は気もそぞろに、それぞれのコーヒーカップに手を伸ばした。

良市はそのとき何げなく、いつも腕時計を右手にはめている若狭院長のそれが、かっきり十時を指しているのをぼんやりと目にとめていた。






 ふと、意識をとり戻した良市の真上に、きらびやかなシャンデリアが柔らかい光を投げかけていた。

(ここは?)ハッ!と気づいて、起きあがろうと傍らに両手をついた掌に、ぐにゃりとした感触を覚えて、

『あっ!』 と思わず声をあげてしまった。

『あはははは』

 と、背後で男の笑い声がしたので振り向くと、若狭と宮原がすでに目覚めていて、仮面の男にコーヒーの接待を受けているのだった。コーヒーといえば、あのクラブで男にすすめられたものをひと口飲んだとたん、吸いこまれるように深い眠りに陥ちていったことまでは確かに覚えがある。…とすると、良市たち4人は、眠っている間にこのいずことも知れぬ邸の中に運ばれてきたことになる。

良市は起き上って見て今、自分が寝床にしていた柔らかい物体をふりむいたとたん再びあっと小さく叫んだ。

全裸で、黒い革製の猿ぐつわを咬まされ、足首を摘えて縛られた少女が二人、仰向けにしたからだを寄りそうようにして、蒲団がわりをしていたのだった。少女らは両腕を後ろにまわして見えないのは、たぶん後ろ手に縛られているからだろう。どのくらいの時間、こうしているのかさだかではないが、大の男を半身に乗せて支えているのは、かなりの苦痛に違いなかった。

すでに起きあがっている若狭と宮原の寝床になっていたのだろう、床の上には三組六人の少女が身じろぎもせずに身を横たえているのだった。

いずれも室内の電燈に映えて、輝くような肌の美少女たちであった。見事に成長した女体を良市があえて少女と考えたのは、吉沢の言によるとこの邸にくるのは、いずれも処女ということだったし、仰向けに横たわっている女たちの、下腹部にまだ幼いものを感じたからであった。

いま一組の少女たちの上に、肥満体の源田がひとり、まだ快よさそうに眠っていた。






少女たちの足許に、絵から扱け出たサジスチンそのままに、ぴっちりとからだの線をあらわにした革衣裳を身につけて、鋭い乗馬鞭を手にした間蓉子が立っていた。
眠り呆けている源田の重みに耐えかねたのか、寝床の少女が小さく身動きをみせた。

ピシッ!

と柔肉を打つ鋭い音がして、蓉子の鞭がその少女の太腿に飛んだ。良市は柔らかい絨毯を踏んで、恐るおそる宮原たちの坐っているソファに並んで腰を降ろした。

『いやあ、おどろきました』

若狭が声をひそめて良市に話しかけた。こちらに頭を向けて、大平楽に肉蒲団の上に横たわっている源田の禿げた頂きが滑稽に見える。




『出だしからこれだと、あとはいったいどうなるやら…。これはたいへんなものですな』

『しかし…、ここはいったい?…』

『いや、それがさっばり。私もあんたと同じ思いですわ』 若狭はそういって首をすくめるのだった。

やがて源田の目が覚めると、寝台少女たちは足首の縛めを解かれ蓉子の鞭に追われ部屋を去っていった。

『どうです? みんなきれいな女たちでしょう』吉沢の声に、4人はすでに返す言葉も失っていた。

『この邸にはちょうど、35人の女たちがいますが、そのうち5人ずつ一週間の間、責めることにしているんです。でも、今夜はお客さまを、ご招待しているので、ほとんど総動員ですよ』




では、ご案内しましょう、と仮面が席を立ったので、4人の男たちも、ぞろぞろと、その後に従った。まるで、雲の上を歩むような心地であった。

それから、良市たちが目にしたものは、まるで緊縛博覧会とでもいえそうな光景であった。4人のマニアたちが、それまでずっと想い描いていただけで、とうてい実行不可能だと考えていたような極限的な緊縛が、次つぎと目の前に展開されていくのだった。

そうした縛りは、間蓉子の他に、やはり同様の服装をした女が二人いて、手際よく犠牲の少女たちにびしびしと縄掛けしていくのだった。

少女たちの中に、クラブで写真に見た内藤ゆかりの姿も見受けられた。

そうして一時間近くも緊縛の決定版といえるものを見せつけられると、良市たちの頭は完全に痴呆状態になっていった。

それらの中で特に良市が魅きつけられたのは、昨日きたばかりの新入りだという少女が検診台と称する特珠な椅子に縛りつけられてガラスの試験管に似たものを挿し入れられ、内部の点検を受けるさまであった。

『処女膜というものは、ご覧になったことがありますかな?こうして覗けば、はっきりと目にすることができますよ』

 男はそういって残認な含み笑いを洩らすのだった。

『もう皆さん大分お疲れの様ですな。では最後のお楽しみに、お好みの個室へ、ご自由に引きとって下さい。』

 仮面はそういって、それぞれ希望した女がベッドに固縛されている部屋を提供するのだった。

『高村さん、あなたは他の方と違って、女体緊縛のご経験もないとうかがいましたので、特別に新入りを提供させてもらいましたよ』

その部屋に入ってからの良市の行動は、あまりの興奮と至上の快楽のために、かえって記憶もさだかではない。ただ、その部屋のベッドに緊縛されて横たわっていた少女は、確かにさきほど試験管を挿入されて、処女膜を披露されていた少女であったことは確かであった。そのとき、良市は初めて失神というのを経験した。

再び目覚めたのは、六本木にある例のクラブの一室であった。

『わたしたちは本当に同様の夢を見ていたんだろうか?』

源田は薄気味悪そうにそういって室内を見まわじた。

もう、そこにはあの仮面の男も、もちろん間蓉子の姿も消え失せている。

『あっ!』 と良市は、腕時計に目をやって思わず声をあげた。時計は、ちょうど九時十分を指している。

とすると、何かの薬の作用があったとしても、たった5分くらいの間で、あれほど生なましく、また確かに時間の経過を記憶しているような夢を見たのだろうか?

4人の男たちは、それぞれに思考をめぐらせて記憶をふり返ってみたが、4人とも同様の体験をしたというだけで現実を証拠だてるものがなにひとつないのだった。

『やっばり夢だったんだ。でも、わたしはそれで満足だよ。なにしろ、すばらしい夢だったからな』

若狭が立ちあがって帰り仕度をはじめると、3人も仕方なくぞろぞろと後に従った。

(いや、夢じゃない。これはいったい何と説明すればいいんだ?)

良市は、そっと鼻先へ指を持っていった。かすかに、しかし、まぎれもなく少女の甘い肌の匂いが、そこに香っているのだった。





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