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SM ショートストーリー
二人の客


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美しい柿妹の経営するバー・ポレロ、姉はしとやかな丸顔美人で妹は長顔で、ヤンチャな美人で杉子といった。

そのバーの常連で年配でしとやかな老人とエネルギッシュでエッチな青年がいた。ともに画家で老人は南画家として有名で名前を南宗山といった52歳である。青年は中央美術の会友で北玲二郎と言い32歳であった。二人は不思議とそのバーで顔を合わす事が多かった

柿妹は共、その二人が好きだったが、どっちかと言うと姉の松子は北を、妹の杉子は宗山が好きだった。姉が北の方が優しいと言うのに対し妹は宗山が金持で、頼りがいがあると主張した。

二人の画家はこのバーに来るようになって友人となったのだが、近くのストリップ劇場に二人そろって見に行くほどになっていた。ある日、演し物の替わったばかりの劇場から出た二人は、きょうのは興奮したな、と話しつつ、バー・ポレロに入って来た。







おしぼりを出しながら、商売用ばかりではない笑顛で姉の松子が聞いた。

『何をそんなに興奮したんですの』

『裸さ。八頭身というのかネ、体がすばらしかったょ』と、宗山。

『いやそうでない。ボクは脇役のチビちゃんに感心したんだ。感心より同情かな。なにしろ一幕じゅう、小1時間も縛られっ放しだったもん。すげえや』

と玲二郎。

『いったい何というショウなの』 妹の杉子も話に、わり込んで来た。

『エッチ大作戦さ』 と玲二郎。

『一度、見に行ってごらん』 と宗山。

 そのあとで、チヨット紙ないかと、色紙を要求した宗山は、職業柄か、いつもズボンのバンドにさげている矢立から筆をとり出し、その面相の先をペロペロなめながら薄墨を活かして、宗山はさすがに鮮かな筆運びで、スイスイとその情景を描いて行った。竹林の中にたたずむ裸女という構図で、野太い孟宗竹の間にソソとした白い美女の裸が夢のように浮き出て、何ともいえぬ気品があった。

『こんな、感じだったかな』 と宗山。

『多分』

と言いながら、玲二郎も、タナからスケッチブックをおろして鉛筆を走らせ始めた。ごつい手で無器用に鉛筆をにぎる玲二郎の筆の運びは、画家とは思えぬほど遅々として、宗山の活達さには及びもつかなかった。きっと細かい線など使わない画風なのだろうと姉妹は思った

できあがった絵も好対照だった。仔牛のように筋肉の発達した女が、天井からつるされ拷問に泣いている図だった。

『こんなシーンだったかな』 と玲二郎。

『多分』 と宗山は言いながら、二人は顔を見合わせ絵を見比べてカラカラと笑った。

その夜、浮気心を刺激されて早めにスタンバーした姉妹は、男二人に食事に行かないかと誘いかけた。『OK』異句同音4人は、ただちに近くのそば屋に行った。ソバをたべるうち、玲二郎は珍しく、姉の松子を口説いていた。

『あの裸女が目について今夜はネムれないだろう。いっぺんでもよい。縛ってみたい。松ちゃん、ともかく今夜いいだろう』

かなり、こわい口説き方だった。だが松子は、こわいとは受けとっていなかった。玲二郎の口から出ると、こわいせりふも、なんとなくオッチョコチョイに聞こえ、いったいこの人は、どんな愛し方をするのか、浮気してみたいような気持になる。

一方、妹の杉子の方は、男より女の方が積極的で露骨に口説いていた。

『ねえ、一晩、五千円なら安いでしょう。宗山さん、いかが。この杉子が、たったの五千円なのよ。煮ても焼いても、いいのよ。この若鮎は今がシュンなの。それが一尾五千円』

杉子はそう売り込みながら、宗山なら承知してくれる。優しく優しく愛してくれると期待していた。

そしてその結果、希望どおりに二人は、あいついで、ナイトホテルに入って行った。

玲二郎は松子と一諸に梅の間に通った。真ん中に鏡があり、桃色のシェードのついたスタンドにはえたダブルベッドが、それにうつっていて、なまめかしかった。

『ともかく疲れたネ。フロに入ろう』

と玲二郎は優しい。松子といっしょにフロに入り、あんな武骨な男がどうしてこんなに器用になれるかと思うほど巧みに、松子の体を洗ってくれた。

『和服は、きついでしょう。だからボクは、着物というヤツは、きらいなんだ』

と、ゆかたに着替えたあと、松子がぬぎすてたウールの着物を、ちゃんと衣紋掛けにかけて洋ダンスに吊るすし、床に入ってからもいたわるようにしてくれた。

松子は心から優しい人だなと思った。それと同時に、女を縛りたいなどといったり、あんな絵を描いて見せた人とも思われなかったので、寝物語に、そんな感想を語ると

『おや、松ちゃんはマゾなのか。ポクは正常な人とみていたんだが――。あんなものは絵を見て楽しむものだよ。実際にするもんじゃないさ。とくに自分の好きな人にはネ』

と、こともなげに言った。

『スカン人なら縛るの』

『いや、逃げ出すよ』

北の返事は、まことにあっさりしていて、松子を吹き出させた。

そして松子を、がっしりした腕で抱きかかえながら、徐々に、紳士的で優しく、それでいて実に行きとどいたテクニックで愛してくれた。このため松子は再三、再四、女としての幸福を味わせてもらった。

『ボクは、いつかはこうなると思っていたんだよ。その時にはどうしようと、そのことばかり心配していた。あんたが本当に、しあわせになれるだろうか――ボクにはそんな資格も何もない、そんなことばかり考えていた。だがいま、女を幸福にするのは男だし、男を幸福にしてくれるのは女の柔肌しか、ないとわかったよ』

北の、たくましい腕に抱かれたまま、松子は夜のふけるのも知らなかった。

一方、自ら売り込んで宗山を口説いた杉子の方は、どうだっただろうか。

『ふむ、五千円か。よし、やろう。じやあ、今夜の君はボクのドレイなんだな』

二人だけになると老人はすぐ金を払った。その金を杉子がしまう、いと間もおかず、老人はどこにかくし持っていたのか、強くて、太くて、頑丈なロープをとり出すと、あっという間に杉子を、しばりあげた。

『あれー。あっ、あっ、何を、何をするの。あれー』

という悲鳴を楽しむように、老人は杉子をすぐに裸に剥いた。このため着物は皆、手首に集まったが、それをそのままにし、余った縄を胸に回して締め厳重に菱縄に仕上げた。杉子をイスの上に追いあげ、天井に縄尻を固定したあと、からだをかかえあげてイスをのけると、全身の重味でナワが胸にしまり、体はぐるぐる廻りながら、ずり落ち、足先だけで、やっと届いた床をささえ、辛うじて体のゆれを、とめることができたという状態だった。

杉子は思わず悲鳴をあげる。その口にさっと、汚いマクラカバーを押しこんでサルグツワをかけられ、まさに、いきたえだえになるくらいの苦しさである。

老人は、杉子をそんな形にしたあと、ハブラシのようなもので足のウラや脇腹をくすぐる。鼻の穴にコヨリを突っ込む。いやはや無茶苦茶である。縄をムチ代りにしてシリを叩く。手当り次第に素肌を嬲り、いたずらをする。それはもう、その風格からは想像も出来ない変態の限りをつくすのだ。

杉子が失神すると、それをよいことに、すべての着物をはぎとり、こんどは、さらに厳重にナワをかけ直したのち、舌をかまないよう、ワリ箸ではさんで固定したあとで活を入れ、水ブロにつけた。水からひきあげると、こんどはエビ責め、と責め手を、つぎからつざに変える。その間に老人は、あられもない女の拷問図をカメラでとり、絵筆でノートにスケッチした。無残というほかはなかった。

北玲二郎と松子が、いい気持で、この旅館をあとにしたころ、杉子は逆エビに縛られ目かくしをされていた。そんな惨めな杉子を床に転がしたまま、宗山はひとりこつそりとその部屋を出ると、ボーイにチップをやり、そのまま、マゾ女を愛するよう頼んだ。ボーイは喜び勇んで部屋に戻り、杉子に襲いかかった。宗山は、それを見ていたが、ボーイが去ると杉子の右手首のナワだけをゆるめ、さようならとも言わずにホテルをあとにした。






杉子が不自由なからだをくねらせ、ゆるんだ右手のナワをとき、ようやく自由を回復して、家に帰ったのは、もう白々と夜があけかけているころで、杉子は、家のくぐりをくぐると同時にたおれ、玄関のじゅうたんの上に寝込んでしまった。

そして、その夜、この二人の姉妹は、とりすましてバー・ポレロで顔を合わせた。

『どうだった?』 と聞く杉子に、松子は

『北さんって人は、変態も変態、まるで気違いよ。カワのカセを持ってきていて、一センチも身動きできないようにされたの。そしておいて、乳房を捻り上げるやら、腰をぶつやらで、めちゃめちゃに虐められちゃった。もう死んだ方がよかったワ』

とポロポロ、涙を流してみせた。




いっぽう杉子は

『まあ、そう。それとくらべると、まるで月とスッポンね。やはり老人は、しとやかで優しく、すみずみまで愛撫の手がとどくの。なんたって、老人は時間が長いでしょう。二度も三度も失神しかけたワ』

と、いかにも楽しそうに話していた。

『じゃ、乾杯ネ』

『チェリオ』

と女どもが乾杯したところへ、不良老年と洋画家が、あいついで入ってきた。

北は、いたずらっぽい目をし、宗山は真面目な表情で二人を眺め、ふたたび青春について議論を始めた。
この人たちは、どうしてこんなに見た目と実際の違いが、あるのかしら――

期せずして松子も杉子も、そう思った。それから、いつものように二人にハイボールとジンフィズを出した。





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